「このマンガがすごい!2022」でオトコ編10位を獲得し
話題となっていた『ダーウィン事変』ですが
「誰かに薦めたいと思う」漫画を選ぶ「マンガ大賞2022」にて
大賞を受賞したことにより
今、最も読むべきマンガとして
注目されています。
アニマルウェルフェアやヘイトという
重いテーマが独自のスタイルでリアルに描かれており
読者に気付きを与える作品として評価されていますが
後々に回収される伏線が随所に仕掛けられており
考察という意味でも、面白く読める作品となっています。
ここでは主だった伏線をまとめ
紹介していきます~◎
※ネタバレ含みますのでご注意ください
テーマも考えられているけど、伏線も上手く仕掛けられている『ダーウィン事変』はスゴい!
【ダーウィン事変】伏線まとめ
ヒューマンジーの少年、主人公チャーリーを
はじめ、同じ学校に通う女子高生ルーシーや、
過激な団体ALAの幹部リヴェラ。
様々な人物を中心に展開していくストーリーの
随所に仕掛けられた伏線を、回収済みを含めてまとめていきます!
「コウモリみたいな存在」発言の意味合いは?
1巻1話で
猫を助けるために登った木から
落ちてしまったところを
チャーリーに助けられたルーシー。
その後、食堂でチャーリーを見つけたルーシーは
「コウモリなのってどんな感じ?」とチャーリーに聞きますが
「人間なのってどんな感じ?」と返されました。
これは「コウモリであるとはどのようなことか」というテーマの
哲学者トマス・ネーゲルの有名な論文を踏まえた会話となっており
意識の主観的な性質は、
科学的な客観性の中には還元することができない問題である
という意味合いを持った会話となっています。
それらを踏まえると
人間とヒューマンジーは
「お互い知る術を持っていない」
という意味の会話となりますが
このコウモリのくだりは
1巻3話で再び登場します。
ルーシーに接触を試みたリヴェラは
ルーシーから
「チャーリーは”コウモリ”みたいな存在」
と聞きます。
これを聞いたリヴェラは大笑いし
リップマン少佐との連絡でチャーリーの事を
「Mr.コウモリ」と表現し
リヴェラは「ルーシー推し」になります(2巻11話)
もちろんリヴェラは「コウモリの話」を知っていて
チャーリーの事をコウモリと表現する
ルーシーを気に入ったのでしょう。
ちなみにこの時の
「そっちのMr.コウモリはどう?」という
リヴェラのセリフには
「オメラス」の存在を匂わせた伏線にもなっています。
その後、リヴェラからも
チャーリーやルーシーからも
「コウモリ」についての話は登場していません。
しかし
「人間とヒューマンジーが真の意味で知る術がない」
という、物語全体のテーマを表し
重要人物であるリヴェラがルーシー推しになったキッカケでもある
「コウモリ」については
最終話までに、いずれ登場することになるかもしれませんね。
どのようなシーンで登場するのかは、要チェック!
「人間(ヒューマン)なのってどんな感じ?」
のような名言については、
こちらの記事でまとめています↓
ルーシーの「陰キャ」と「変わった経歴」
『ダーウィン事変』ヒロイン・ルーシーには
2点、注目すべき伏線が仕掛けられています。
順番に見て行きましょう。
ルーシーという名前
1巻3話でリヴェラと出会ったルーシーは
別れ際に「万華鏡の目をした女の子」と呼ばれます。
この意味は2巻9話で回収され
ビートルズの曲の一節に
ルーシという名の万華鏡の目をした女の子が登場すると判明し
さらにルーシーという名前が人とチンパンジーの境界線上にいる
アウストラロピテクスの名前にも繋がっていると判明します。
ここからルーシーという名前が、
人間とチンパンジーの間に生まれたチャーリーと
「対になり繋ぐ存在」として
付けられていたことが分かります。
かなり考えられて付けられた名前だと
感じられますね。
ルーシーの「陰キャ」と「ちょっと変わった経歴」
1巻1話で初登場したルーシーの性格は
当初「陰キャ」として説明されていました。
しかしその後チャーリーと仲良くなろうと
積極的に動くルーシーは
とても「陰キャ」には見えませんでした。
その「陰キャ」とされた理由が
4巻20話で明らかとなります。
ルーシーは人工授精で生まれた子供であり
「不自然な生殖技術」から誕生した、と分かります。
このエピソードは
3巻16話でリヴェラの発言
「ちょっと変わった経歴を持っているね」
からも匂わされており
この時にルーシーがかなり動揺していることから
おそらく「陰キャ」だったのは
自分が不自然な生殖技術で生まれたという
過去を持っていたからだろう、と察せられます。
1巻2話では
同じ高校に通う男子学生トレヴァーの
「不自然な生殖技術で作られたクリーチャー」
という表現にも反応しており
ルーシーが人工授精で生まれた子供という設定が
最初から決められていたと分かります。
ここから「陰キャ」という設定は
ルーシーの誕生エピソードを示す伏線だった
と考察できます。
こちらからも
かなり考え抜かれてキャラクターが作られていると
感じました!
エヴァがカードで伝えたかったこと
1巻3話にて再登場したチャーリーの生みの親エヴァ。
脳に重度の障害を負っており
コミュニケーションを取ることは不可能とされながらも
単語カードを並べ
何かを伝えようとします。
「1 am W 03 N」
と並べられ、
全く意味が分からず
デタラメに並べられている、とされ
そのままスルーされてしまいますが
4巻22話で
これが伏線だったと分かります。
寿命のため
死亡間近となるエヴァ。
しかし死に際に、再び単語カードを並べます。
「I am a mother of 2」
今度はキチンと
”私は2児の母”という意味に並べられます。
1巻3話での最初に並べた単語カードが
チャーリー以外にも子供を産んだ、という伏線だったとして
回収されます。
ものスゴい伏線ですよね!
ちなみに2回目に並べる前のコマで
「ask」と「swim」というカードを
触っているコマが登場しています。
こちらにも何かしらの
伏線が含まれているかもしれません。
【追記】
5巻23話で、1回目のカードの意味が明らかとなりました。
「1 am W 03 Z」
という文でしたが、以下のようにチャーリーが推測します。
- 1→I
- Wと03を反転させMom
- ofが脱落していた
- Z→2
これにより、
「I am Mom of 2」
という文になると説明されました。
見事に2回目の文と同じ意味になり、素晴らしい伏線回収になりましたよね!
『ダーウィン事変』というタイトルがもつ意味とは?
作品のタイトル『ダーウィン事変』。
どのような意味を持ったタイトルなのでしょうか?
「ダーウィン」はやはり
「ダーウィンの進化論」を指しているでしょう。
「事変」の意味は
「天変地異や突発的な騒動などの、非常の出来事」
という意味を持っています。
となると
「ダーウィンの進化論による突発的な非常の出来事」
という意味になりそうです。
これ、
「チャーリー誕生」を指しているタイトル
に読めますよね。
リヴェラの目的は
「人間をもっと早く進ませること」
ですが、
『ダーウィン事変』は
それが叶うタイトル
にも読めます。
となるとこのタイトルは伏線ではなく
そのままな意味となりますが
今後の展開によっては、わかりません。
たとえば
オメラスもチャーリーと同じで
ダーウィンの進化論においての
突発的な非常な出来事なので
オメラスをも指しているかもしれません。
さらに
チャーリーとルーシーの間に
子供ができる展開となった場合には
さらに違う意味を持ったタイトルになってくるかもしれませんね。
『ダーウィン事変』タイトルの真の意味とは何なのか?最後まで追いかけて確認したい♪
【ダーウィン事変】は伏線と展開が面白い!
『ダーウィン事変』の伏線を見てきましたが
テーマと共に
作品自体がかなり考え抜かれて作られている
と分かります。
特に
ルーシーという名前からは
かなり考えられていることがわかりますし
そうなって来ると
他のキャラクターも気になってきますよね。
様々に仕掛けられた伏線を押さえながら
最後まで展開を追いかけるのが
非常に面白い作品だと感じますよ!
他のキャラクターについては
こちらでまとめています↓
『ダーウィン事変』をお得に追いかけたい方は
こちらの記事をどうぞ↓